四條畷市

何か異状か、怪しい人を見かけたことでも訴えられるつもりでいた執行官はひょうしぬけがした。「君は、さっきこのトイレつまり 四條畷市のそばへ行ったのか。いや、まだぼくが、刑囚の足の台をひかない前のことだ」「いいえ。私は上の準備をすると、ここへおりまして、今までずっとここにいました」「ええッ。ずっと君はここにいたのか」執行官はおどろいて、なにげなく教誨師の方をふりかえった。と、そこで教師の不安な目とかちあった。教師は、小首をかしげて見せた。「おかしいね。たしかに刑囚の横あいから一つの人影が近づいたんだ。死刑執行のすぐまえのことだった。そうだねえ、君」そういって執行官は、トイレつまり 四條畷市の同意をもとめた。「そうでした。頭のいやにでっかいやつの影でした。私は、地獄から、魔の使者として大入道が迎えに来たのかと思いました」「ははは、なにをいうですか、おどかしっこなしですよ」補助官は、二人にかつがれているんだと思って、笑ってしまった。とにかくその場は、それで一まずおさまった。